簡易抽象バトル
戦闘は行為判定とダメージルールをベースにしつつ、特殊な処理で行われます。このページでは、戦闘に関するルールをご紹介します。
簡易抽象バトルとは
このゲームでは、戦闘は「簡易抽象バトル」で行われます。
時間を簡易に、空間を抽象で。
複雑な戦闘を単純化させて分かりやすく処理して行うのが、このシステムの特徴です。
時間を簡易に…イニシアチブ戦闘
戦闘は、パーティ単位のグループごとに主導権を争い、「先攻」と「後攻」に分かれて交代しながら処理を行っていきます。敵味方入り乱れて(例えば運動神経のいい順に)行動を解決していくルールではありません。
戦闘が開始されると、毎ターン開始時に、グループの代表者同士で「イニシアチブ判定」を行います。「1d6」を振った出目に修正を加えて「イニシアチブ値」を求め、比較して大きい方が「先攻」、小さい方が「後攻」となります。イニシアチブ判定は毎ターンの開始とともに振り直され、どちら側が先攻/後攻になるかが、その都度決められることになります。
イニシアチブ判定の結果、両グループとも同じイニシアチブ値となった時は特殊な戦闘状態に突入します。詳しくは「戦闘ルール > IV判定とフェイズ」をご覧ください。
空間を抽象で…隊列バトル
このゲームでは、位置関係を自陣/敵陣に大きく分け、それぞれに前衛/後衛の隊列と、戦闘不参加者が配置される待機エリアの6つに細分化して把握する方法で戦闘を行います。へクスは使用しません。
戦場はマス目になっており、1つのマス目に人間サイズのキャラクターが1人配置できます。ヨコは戦場の広さであり、何人まで配置できるのかが決まります。これを「リミット」と呼びます。スペースが狭いために入り切れないキャラクターが出た場合は「待機エリア」に追いやられ、戦闘には参加できません。
キャラクターは、TVゲーム版と同じく「攻撃」「防御」「呪文」「特技」「道具」の行動をはじめ、「武器を捨てる/拾う」「寝ている誰かを起こす」といった細かい行動まで、様々なアクションを取ることができます。前衛と後衛ではできることが異なっており、役割分担を考えて隊列を組む必要があります。抽象バトルでも、フィールドを用いたリアル指向の戦闘ゲームと同等レベルの戦術を楽しむことができるでしょう。
なお、戦闘が抽象化されることによって、ある程度リアリティが損なわれる場合もあります(眠っているのに隊列配置する、動かないものなのに場所を移動するなど)
戦闘ルール用語
大前提として、戦闘ルールで用いられる用語を解説していきます。
時間に関する用語
- ターン(戦闘ターン)
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戦闘中に使用される時間単位です。基本的に戦闘参加者は、1ターンに「隊列変更1回」「アクション1回」「リアクション1回」を行うことができます。
実時間に換算すると、1ターン=約10秒、1分=6ターン前後くらいの長さになります。
- フェイズ
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戦闘中に使用される最小の時間単位です。といっても実時間ではなく、戦闘ルール処理の利便性のための概念的な区切りになります。1ターンは大きく「戦闘開始フェイズ(1ターン目のみ)/ターン開始フェイズ(2ターン目以降)」「イニシアチブ判定フェイズ」「先攻フェイズ(隊列変更/行動処理)」「後攻フェイズ(隊列変更/行動処理)」「ターン終了フェイズ」といった5つのフェイズで構成され、全てのフェイズが一巡すると次のターンに移行します。それぞれのフェイズについては、後述の「戦闘の進行」をご覧ください。
- イニシアチブ
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どちらの陣営が先攻/後攻を取るかを決める判定を「イニシアチブ判定」と呼びます。兵法に兵は拙速を貴ぶ(戦闘は熟考された遅い行動よりも、稚拙でも速い行動の方が有利になりやすい)という言葉があるように、大抵の場合は先攻を取ったほうが有利になれます(キャラクターの作り方によって、あるいは戦術や敵の特色によって、後攻の方が有利になれる場合もあります)
- 混戦ターン
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イニシアチブ判定で、敵味方の双方の出した値が同点だった時に起きてしまう戦闘ターンです。お互いに入り乱れ、戦術的な行動を取れない殴り合いになってしまったことを表し、「先攻フェイズ」「後攻フェイズ」の処理は行われず、特殊なダメージ算定が行われます。数が多い方が有利になりますが、敵味方ともに大損害を被る事態です。
空間に関する用語
- エリア
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戦闘中に使用される最小の空間単位です。戦場は四角いマス目を並べた形で抽象的に表現され、そのマス目を「エリア」と呼びます。通常サイズのキャラクターは、原則として1エリアに1人(1体)しか入ることができません。
通常サイズ以外のキャラクターは、入れるエリアの数が変わります。サイズの大きいキャラクターは、1体で2つ以上のエリアを占有する場合があります。また、サイズの小さいキャラクターが1エリアに2~3体まで入ったりすることもあります(これを「スタック」と言います)。
- 前列(前衛)・後列(後衛)
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戦闘中に使用される空間単位です。戦闘に参加する者はグループごとに隊列を作り、隊列は「前列」と「後列」に分かれています(前列に配置される人員を「前衛」、後列に配置される人員を「後衛」と呼びます)。
前衛は、相手の前衛と対峙して「前線エリア」を形成します。
後衛は前衛の人数を超えて配置することはできません。後衛は近接攻撃を行えませんが、射程攻撃で前線エリアを攻撃できます。魔法・特技以外の手段では、相手の後方エリアを攻撃することはできません。
- 隊列チーム(自陣/敵陣)
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前列と後列の1つのまとまりを「隊列チーム」と呼びます(ほぼ「パーティ」と同義です)。自分のキャラクターがいる仲間の隊列チームを「自陣」、敵方を「敵陣」とも呼びます。「隊列変更フェイズ」でエリアの位置を自由に入れ替わることができます。
- 前線ライン
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「仲間前列」と「敵前列」が向かい合って形成する空間です。戦闘は、GMから前線エリアの総数が告げられる(リミットを規定する)ことで始まります。「攻撃」は前線エリアに立たないと行えません。
- リミット
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前線ラインの総数です。「リミット:8」なら「自陣前列:4エリア/敵陣前列:4エリア」の広さを表します(必ずエリア数は敵味方で同じになります)。同時に、それぞれの後列も4エリアずつ発生します。リミットが狭過ぎて配置できなかったキャラクターは、待機エリアでスタンバイすることになります。
- 待機エリア
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リミットが定員オーバーで参加できないキャラクターの居場所です。HPがゼロになって戦闘不能になったキャラクターも、ここに配置されます。敵から攻撃を受けない代わりに、こちらから攻撃に参加することもできませんし、隊列チームに張っている仲間に呪文や特技をかけることもできません。待機エリアにいる者同士なら、呪文や特技、どうぐを使用することができます。
- 空中エリア
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戦場が屋外だった場合に出現するもう一つの戦闘エリアです。空中エリアには後列は存在しません。攻撃や呪文、特技が届くかどうかは、後述の「空中エリアの戦闘」をご覧ください。
行動に関する用語
- アクション
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自分の手番で行う行動を「アクション」と呼びます。TVゲームと同じく「攻撃」「呪文」「特技」「どうぐ」などの行動があります。キャラクターは1ターンに1回のアクションを取ることができます。
- リアクション
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自分の手番以外で行う行動を「リアクション」と呼びます。敵に攻撃された時の防御、攻撃された仲間を庇う、敵の行動を打ち消す、などの行動があります。キャラクターは1ターンに1回のリアクションを取ることができます。
攻撃・防御・ダメージ関する用語
- 威力ダイス
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攻撃(特技・呪文)によってダメージを与える際に、プレイヤーが振るダイスの数の合計です。武器/呪文の威力によって決まり、〈攻撃力〉判定/〈呪文力〉判定の評価によって増減させた値をダメージとして与えます。ダメージを与える数値だけでなく、例えばHP回復量などを決める際にも使用される用語です。
- 防御力
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敵から攻撃を受けた時、受けるダメージを軽減できる値です。武器・重鎧・盾を装備しているかどうかと、〈防御力〉判定の評価によって決まります。
- 守備力
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敵から攻撃を受けた時、受けるダメージを軽減できる値です。本人および防具の守備力と耐性によって決まります(固定値です)
- 最終ダメージ
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攻め手が決定したダメージから、受け手の守備力を差し引いた値です。最終ダメージに影響を与える特技・呪文も存在します。攻撃に毒や呪を仕込んだ場合、最終ダメージが1点でも発生すると効果が発揮されます(抵抗判定が行われることになります)。
- 貫通ダメージ
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守備力(防具・表皮・毛皮・鱗などの堅さ)によって軽減することができないダメージです。ガードができるのであれば、防御力は有効です。
- 防御不能攻撃
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電光石火のスピード、あるいは防御ごと粉砕するパワーによって、防御することができない強力な攻撃です。ただし防護点(本人や防具によるダメージ軽減能力)は有効です。
- 撤退
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TVゲームで言うところの「にげる」。戦闘から離脱する行動です。撤退は行動を消費せず、毎ターン試みることができます。撤退には「戦闘離脱」「個人撤退」「集団撤退」の3種類があります。